

4月の溶岩状況
ジャックさんの家が溶岩に飲み込まれてから早くも一ヶ月。
その間火山活動には特別大きな変化はありませんでしたが、それでもキラウェア火山は毎日変化を続けています。
まず最初の変化として、PuuOo火口内の東端(スピルウェイ側)に直径10m前後の溶岩池ができました。
運がいいと、グツグツ煮える溶岩そして数メートル吹き上がる溶岩が見えたりもしています。(地上からのアクセスがないためPuuOo火口付近は上空からしか見ることができません。また、雲が低いとPuuOo火口まで近づく事ができない為に、上空からでも火口が絶対に見られるとは限りません。)
火口に設置されているウェブカメラからその様子がチェックできます。
→ PuuOoクレーター 複数ショット
→ PuuOoクレーター 熱感応式カメラ
そして今、目を離すことが出来ないのが「Coastal Plain (海岸沿いの平地」です。ジャックさんの家を飲み込んだ溶岩流が、海岸に向かって少しずつ進んで(延びて)います。
溶岩は「熱い液体」であり、水と同様、川のように必ず低い場所(海)に向かって流れます。もちろん急斜面では早く流れ、平地部ではゆっくり流れ出ます。(川と同じです。)溶岩の最先端が海岸線から約1km位のところまできました。火口から出てくる溶岩の量が減ってしまったり雨が降ったりすることで進路も速度も変わるので何とも言えませんが、今の状態がそのまま続けば一週後ぐらいに新オーシャンエントリーが誕生してもおかしくない状態ではあります。(でも今日も朝からかなり火山周辺で雨が降っているんですよね)
次の2枚の写真を見比べてください。同じ角度から撮影されていますが、赤やオレンジの色が見える写真(画像2)はサーマルイメージ(Thermal Image)です。普通のカメラで撮った画像(画像1)の上に熱感応式カメラで捕らえた画像を重ねたイメージです。
【画像1】

溶岩流の間に残された林の一部“Kipuka (キプカ)”付近は“Hilina Pali (ヒリナパリ)”と呼ばれる崖で、結構な急斜面です。左、中央、右と大きく分けて3つのキプカが残っております。
左と中央のキプカの間に白煙の線が上から下に延びています。ここがラバチューブ(溶岩トンネル)が形成された場所です。そして一番激しい煙が上がっている付近に、元ジャックさんの家があります。ヒリナパリのふもとから手前の中央部に向かって銀色の黒光りしている溶岩が伸びている様子が見えます。この溶岩の最先端が“く”の字に分かれています。下の拡大写真をご覧下さい。オレンジの耐熱スーツを着た火山学者が10名ほど見えます。

【画像2】

サーマルイメージで大体どこが(どの色)が一番熱いかが想像できると思います。紫の部分はすでに表面が冷えかたまって黒い溶岩になっており、赤くは見えません。(熱がまだある為、紫色で見えているだけです。) 熱そうに見えるオレンジの箇所も、ほとんどは既に表面は黒く、本当の先端部だけが上空から赤く見えたりしています。
現在の火山活動を見るなら →ヘリコプターツアー
2012年3月8日【溶岩の脅威】 ロイヤルガーデン 最後の1軒が消えるまでの実録
ジャックさんの家が無くなってしまってから数日間、天気が悪くてフライトはキャンセル続き。焼け跡を見られるのが嫌で、心の整理ができるまでは雨を降らしていたのかもしれませんね。今日やっとフライトができ、自分の目で確かめて来ました。あの赤い屋根のジャックさんの家は、溶岩流に飲み込まれ悲しい姿で残されていました。ジャックさんの家のない新しい溶岩台地の新しい景色。最初のフライトでその光景を見た時には言葉に詰まってしまいました。とても複雑な気持ちになりました。でもそのことを日本のお客様にもしっかりと伝えたいと思い、写真と外部リンクでBefore&Afterの様子をまとめてみます。
| (1) 溶岩が流れる前 |
![]() PuuOo火口が噴火した1983年以来の爪あとの様子です。以前のこの場所は全て緑の林だったのですが、徐々に黒い溶岩に飲み込まれて来ました。黒い溶岩流の合間に残っている“緑の島(Kipukaと呼ばれます)”は、たまたま溶岩が避けていった場所で、最初からあった林です。道やジャックさんの家が残っている様子から、つい最近までここで人が生活していた事が分かります。 |

| (2) 溶岩が家に向かって流れてきた! 2012年2月24日 |
![]() 最初に流れ出てきた溶岩はHOKU・ストリートの右(東脇)を通過してくれたので、『今回もなんとか助かった』とホッとしていたのも束の間。その直後’Ekaha付近から新しいサーフェース・フロー(地表を流れる溶岩流)が始まりました。ジャックさんの家の真上1.5km位の場所から一直線に溶岩流は流れ出始めました。『これはヤバイかな』と正直そのとき思いましたが、今までに幾度もの“危機一髪”から逃れて来たジャックさんの家です。今回も心の中で『家の手前で溶岩が止まってくれる』、『今までみたいに溶岩流の方向が変わり、それてくれる』と信じていました。 |

| (3) 最後の瞬間… |
| ジャックさんの家は暗い夜に姿を消していきました。家が燃えてしまうその瞬間は誰も見ることが出来ていないと聞いております。しかし数時間前〜最後の瞬間数分前までの様子がこちらのリンクでドキュメントされています。この時点でジャックさんはもう覚悟していたと思います。 →最後の瞬間のドキュメント(外部リンク) →家が飲み込まれた翌朝のビデオ(外部リンク) |

| (4) ついに家が溶岩に飲み込まれてしまった… 2012年3月3日 |
![]() 溶岩流に飲み込まれたジャックさんの家の跡形。冷え固まったばかりの真っ黒い溶岩の中に残されていたのは、熱で焼けて白く変色したトタン屋根と貯水のためのタンクのみ。プルメリア・ストリートの下には、行く筋もの赤い溶岩流が見えます。残された貯水タンクの右上には、林が燃え山火事によって煙が上がっている様子も捉えられています。 |
【自然vs人間】 ロイヤルガーデンの最後の1軒、ついにその灯を消す

ついにその時が来ました。ロイヤルガーデンに残されていた一軒、ジャックさんの家が溶岩流(サーフェースフロー)に飲み込まれてしまいました。1983年から何度もの危機を乗り越えてきましたが、“自然
vs 人間” に勝敗がつきました。上空から溶岩流の間に残されたジャックさんの赤い屋根の家をご覧いただくことで、お客様には“本当にここに最近まで人が住んでいたんだ”という事が言葉や説明なしで分かってもらえる場所でした。そのランドマークが無くなってしまったのは非常に悲しいことです。これからは、家の痕跡をお見せすることで“自然の凄さと怖さ”をお伝えできればと思います。
ハワイ島でフライトを始めた1989年からジャックさんの家をずっと見てきました。家にも何度もお邪魔しました。 “いつかその時は来る”と分かっていても、実際その時が来てしまうと辛いですよね。ひとつの幕が下りて、新しい歴史が誕生したんですね。
2012年3月3日【溶岩が迫ってきた!】 ロイヤルガーデンの最後の1軒が危ない
年が明けて溶岩チューブが冷え固まり閉じてしまって以来、オーシャンエントリー(海に流れ込む溶岩)が2ヵ月以上もありません。海に流れ込めなくなった溶岩は火口と海岸線の中間点付近から地面を流れ(サーフェースフロー)、高度の低い“海”に向かって少しずつ進んでいます。サーフェースフローは東に進んだり南に向かったりと方向が定まらずにいましたが、ここ数日くらい前から南東に向かって進み始めてしまいました。その溶岩流の進路に一軒の家があります。ロイヤルガーデンに残された最後の家、友達のジャックさんの家です。
PuuOo火口が1983年に噴火して以来、ロイヤルガーデンやカラパナの町にあった200件近くの家が溶岩の餌食となってきました。溶岩が一軒、また一軒と飲み込んできた中、ジャックさんの家は何度もの危機を乗り越えてきました。偶然とは思えないくらいです。火の女神ペレさんがジャックさんの事を愛しているんじゃないかと思うくらいでした(笑)
しかし、ついにその時が来た予感がします。昨日の最後のフライトで、溶岩の先端は彼の家から100mくらいの所まで達していました。彼の家の周りに残された林が燃え始め、小さな山火事が発生し始め、ジワジワと溶岩はジャックさんの家を目指して一直線に斜面を下っています。サーフェースフローが昨日の進路とスピードで流れ出ていたら、もしかしたら昨夜中には火に包まれていた可能性も大きいです。今日は私はオフでフライトがない為、他のパイロットからの連絡を待っているところです。
溶岩台地のなかにポツンと取り残されていたランドマーク“ジャックさんの家”。PuuOOの噴火が始まる前、つい最近まで“ここには住宅があり人が住んでいた”という事が本当に伝わってくる場所でした。人間は無力、自然を相手にしたら何もする術がないという事を、多くの人がこの家を見て痛感してきました。溶岩流の方向が変わるか、サーフェースフローが止まってくれる事を昨日から祈り続けています。
→ジャックさんの家に迫る溶岩の状況を伝えるブログ記事 (3月3日)
万事休す!?切迫した状況が写真から伝わってきます! (外部リンク)
海に流れ込む溶岩がストップ、オーシャンエントリー消える
お正月を迎えると同時にオーシャンエントリー(海に流れ込む溶岩)がまた姿を消しました。今回は3週間弱という短い命のオーシャンエントリーでした。PELEの気まぐれは有名ですが、何とかならないものでしょうか。久しぶりのオーシャンエントリーでしたので、溶岩を間近で見たくてウズウズしていたお客様が沢山いらっしゃいました。溶岩ボートツアーのご予約を多くいただいていたのに、また残念なニュースの報告となってしまいました。
でもまだ火口付近では溶岩活動は続いています。(上空からは溶岩はまだ見えています) 閉じてしまったチューブがまた開いてすぐにオーシャンエントリーがもどってくる可能性もありますので、Peleさんの機嫌(調子)が良くなる事を望みましょう。
過去のキラウエア火山情報 (画像やビデオあり)